目 的

動詞を使った2語文、3語文、形容詞、名詞などの「ことば」の課題の練習として制作されました。

指導のポイント

このアプリは、「すらすらことば」の次のステップとしての課題です。一般的に子どもが言葉を獲得するのは、母親の言葉を子どもが真似をする模倣相互作用によると言われています(小林登先生の「子ども学」より)。しかし、中にはなかなか真似を始めないお子さんもいます。そのような場合は、言葉のイントネーションに音程をつけて歌うようにすると真似がしやすくなることがあります。このアプリでは歌うように文字と文字を続けていますので、発語がしやすくなっています。最初に「すらすらことば」のアプリで50音をしっかり発語できるようにしてから、次にこのアプリで「ものの言葉」に挑戦してみてください。できれば親御さんやセラピストの口元を見せながら、一字ずつ試みてください。なお、言葉の発語には心の問題がかかわっている場合がありますので、できないことで気後れさせないように、無理をさせず、歌うように軽い気持ちでやってみましょう。

また、話す気持ちを導くために録音機能を使ってみてください。子どもは自分の声が聞きたいために、発語することがあります。最初は完璧を求めずに、真似できるところだけを録音して、聞かせてあげてください。

「反対ことば」では、概念となるように相反するものがペアとなって表示されます。また形容詞の課題にもなっています。抽象的な意味を音で表現し、音の感覚で相反する概念の理解を促すことになります。子どもにとって対称する形容詞に音をつけて表現すると理解につながりやすくなります。ただ、例えば「しょっぱい」だけでは、何がしょっぱいのかわからないと思いますので、一緒に操作する方が「海の水はしょっぱい」と補足を入れられるとよいでしょう。

「もののなまえ」は、「くだもの」「野菜」「食器」「動物」「花」「乗り物」「文房具」「楽器」というカテゴリー別に分類されています。類似したものをまとめる概念として言葉を理解することも大切です。

2語文が言えるようになったら、3語文にチャレンジされるのが望ましいです。口の筋肉の使い方や言い回しが難しい場合には、何度も2語文の動詞のところだけ復唱して、少しずつ言える範囲を増やしていきましょう。

時間をかけて

もともと話すことさえできない状態だったのに、この課題によって発語が促され、今では、会話までできるようになったお子さんが数多くおられます。もちろん、一人ひとりの言語能力は違いますので、1回ですぐに復唱できるようになるお子さんもいれば、何年も繰り返しているうちに、少しずつ言葉が出てくるお子さんもいます。また 脳機能障害や遺伝子の疾患がありながら、時間をかけて話せるようになったお子さんもいます。

現在話すことが不可能であっても、続けることにより育つ言語能力もありますから、あきらめることなく、アプローチしてください。そして、無理をさせず、本人が苦痛にならにように十分に配慮しながら療法としてこのアプリを使い続けてみてください。

長田 有子

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